赤い流れ星3




「美味しかったですね。」

「そうですね。さすがはKEN-Gさんの紹介ですね。」



確かにどの料理も美味しかった。
器や盛り付けも素敵だった。
でも、やっぱり一番は、青木さんとのおしゃべりなんじゃないかな。
お酒のせいもあったのか、単に今日はご機嫌が良かったのか、青木さんはいつもより良く笑い、よく話して下さった。
それが、とても楽しかった。



「野々村さん、少し飲みに行きましょう。」

「は、はい。」



私はお酒には滅茶苦茶弱いからすぐ酔うし、酔ったら、豹変してしまうみたいだから飲めないけど、バーの雰囲気は嫌いじゃない。



「最近出来たばかりのバーがあるんですよ。
外観を見た感じ、良い雰囲気だったから、行きたかったんです。」

「そうなんですか。青木さんも、お店をたくさんご存知ですね。」

「好奇心が強いだけですよ。
もし、あまり良くなかったら早めに出ましょう。」



少し歩いた所にその店はあった。
古きヨーロッパを思い起こさせられる、落ち着いた感じの店だった。
ヨーロッパというか、この感じはイギリスっぽいのかな?



中も、シンプルで上質な家具が並び、新しい店のはずなのに、昔からある店のように思えた。
奥のテーブル席に、向かい合わせに座った。



「あ、モクテルがある。良かったですね。」

「え?なんですか?」

「ノンアルコールのカクテルですよ。」

青木さん、私が飲めないことを考えて下さってたんだ。
それだけのことでも、なんだか胸が熱くなる。



ノンアルコールでも、なんとなく酔ったような感じになる。
そのせいか、いつもより良く話せるような気がした。
青木さんは、本当にお酒が強い。
私が舐めるみたいにチビチビとモクテル一杯を飲んでる間に、強いお酒を何杯も飲まれている。
飲めば飲むほどに、青木さんは陽気になっていかれた。
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