赤い流れ星3
頭の中でシミュレーションする。
昨夜のことは、私だけの秘密。
絶対に、青木さんには知られないようにしなくては。
あんなこと、酔った上でのことだもの。
愛があったわけじゃない。
それでも、私は嬉しかった。
だから、拒まなかった。
拒もうと思えば拒めたのに。



このことを知ったら、きっと青木さんはご自分を責めるはず。
私に対して罪悪感を持たれるかもしれない。
だから、絶対に言えない。
それに、私達の間がギクシャクしてもいやだから。



だから、昨夜のことは私だけの秘密だ。
なんて素敵な秘密なんだろう。
きっと、死んでも忘れない。



時間が過ぎるにつれ、なんだかそわそわした。
そろそろ起きられる時間だろうか?
起きられたら青木さんからLINEが来るだろうか?
昨夜の事を聞かれるだろうか?



そしたら、私は平然と答えるのよ。
「昨夜は大丈夫でしたか?
もう歩けないからホテルに泊まるっておっしゃったから、近くのホテルにお連れしました。
すぐに眠られたので、私はそのまま帰りました。」
そう言えば良い。
青木さんは、私の言葉をきっと信じられるはずだ。

< 576 / 761 >

この作品をシェア

pagetop