赤い流れ星3




『昨日のお詫び、というわけでもないのですが、今夜またお食事でもどうですか?』

(えっ!?)

昼過ぎになり、青木さんからLINEが届いた。



もちろん、私は行きますと返信した。
昨夜の今日だから、確かに少し気恥しいのだけど、でも、青木さんに誘われたら断れない。
私が犬だったら、きっとちぎれる程しっぽを振っているだろう。



約束の時間までにはまだだいぶあるけれど、既に気持ちはそわそわしてる。
とりあえず、家事をすませてから、鏡の前に座る。
前は身なりなんてほとんど気にしなかったけど、今はお化粧も嫌いじゃなくなってきた。
少しでも若く、綺麗に見られたい。



馬鹿だな…
そんなに頑張っても、私は本物の恋人じゃないのに…



でも、もしかしたら、これがきっかけで、本当の彼女さんに…



(何、考えてるの?
そんなこと、あるわけないのに。)



青木さんはあんなに素敵で…
だから、付き合って来られた彼女さん達も、皆、若くて綺麗な人ばかり。
私なんて、足元にも及ばない。
青木さんより年は上だし、何の取り柄もない、ただのおばさんだもの。



急に悲しくなってしまった。
私は秘密を持っただけで幸せだったはずなのに、それ以上のことを望む不遜な私がいる。
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