赤い流れ星3




「席が取れて良かったな。」

ひかりが提案した映画は満員だった。
並ぶのも面倒だし、他のにしようかと言っていたら、有料のカップルシートが空いてたので、そこを押さえた。



「やっぱり、かなりの人気なんだね。」



最初、カズの隣に座ったら、「違うだろ。」って注意された。
カズの隣は美咲さん、そして、俺の隣がひかりらしい。



「どこで誰が見てるかわからないからな。」



カズはそう言うが、誰も俺達のことなんて見ないと思うけどな。
カップルシートは横に並んでるから、ひかり、俺、カズ、美咲さんの順で並んだ。
やっぱり、カズが一番話しやすいから。



映画はひかりの言った通り、馬鹿臭い内容だけど、めちゃくちゃ面白かった。
皆、腹を抱えて大笑いだ。
だから、話すよりも各自、馬鹿みたいに笑って終わった。



「あぁ、面白かった。」

「これ、続編らしいよ。」

「へぇ、そうなんだ。」



ひかりとしゃべったのはそれだけだった。
カズとも、しゃべる機会がなかった。
とにかく面白かったから、皆、まだ笑顔のままだ。


「じゃあ、ランチに行こうか。」



映画館の入ってるビルには、食べ物屋もたくさんある。
館内マップを見ながら、俺達は店を探した。
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