赤い流れ星3
「もし嫌じゃなかったら、普段から付けて下さい。
実は俺も早速付けてるんですよ。」

「あ、あぁ…」

野々村さんは一瞬驚いたような表情を浮かべ、やがてそれが笑顔に変わった。
釣られて俺も笑顔になる。
照れくさいのもあるかもしれない。



今まで付き合って来た女性にも、お揃いをしようと言って来た者はいた。
ただ、それはいつも指輪だった。
深く考えることは無い。
ただのファッションなんだから、と言った者もいたけれど、何か嫌だったんだ。
お揃いの指輪はなんだか束縛感が強い。
本当に結婚を考える相手なら、嫌ではないのかもしれないが、俺は今までそこまで考えた女性はいなかったから。
ブレスレットは、不思議と嫌な気持ちは少しもなかった。
だからこそ、俺の方から仕掛けたんだ。



(もし、これが指輪だったら…)



ペアリングを付けている野々村さんと俺を頭に浮かべた。



なんだろう?
なぜだか、胸が弾むような気がした。



ペアリングを付けた俺と野々村さんは、お互い笑顔でみつめあって…



ば、ばかな!
一体、何を考えてるんだ!
頭を振った俺を、野々村さんが不思議そうにみつめていた。

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