赤い流れ星3
「どんな事情があるのかわからないけど、出来ることなら傍にいておやり。
子供をひとりで育てるのは大変だからね。
まして二人も。」

「二人…?」

「聞いてないのかい?野々村さんの子供は双子だよ。
男の子と女の子。
8ヶ月で生まれたけれど、二人共とても元気だよ。」



(8ヶ月……?)



それなら、計算が合う。
それじゃあ、まさか…俺の子供なのか!?



看護師が部屋の中に入り、赤ちゃんを抱いて窓の近くにやって来た。



「あ、確かにカズに似てる!
目元なんかそっくりだ!」

シュウが俺の顔をまじまじとみつめる。
言われてみれば、確かに似てるような気がする。



(本当に、俺の子なのか!?)



「さすがにあんたは手が早いな。」

「お、おい。」

「美咲さんからは何も聞かされてなかったのか?」

「当たり前だろ。だから、今、すごく混乱してる。」

「そりゃそうだろうな。
だけど、病気じゃなくて良かったじゃないか。」

「それはそうだけど……」



最悪な状況では無かったことはありがたいが、それでも混乱していることに違いはなかった。
あの時のことは、やっぱり夢ではなかった。
なのに、知らないフリをして…しかも、子供のことがわかったら、俺の前から姿を消して…



どうして、そんなことを?



俺にはどうしても、その理由がわからなかった。


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