赤い流れ星3
「俺は…俺は、あなたにプロポーズするつもりだった。」

「……え?」

「気付くのが遅くなったけど、俺は野々村さんのことを愛していることにようやく気付きました。
だから、あなたにプロポーズしようと思った。
なのに、あなたは俺の前から姿を消した。」

「え……」



頭の中が混乱していた。
今、何か夢みたいな話を聞いたように思ったけれど、まさかね。
私、どうかしてるんだわ。



「野々村さん!ちゃんと聞いてますか!?」

「え、は、はい。」

「俺はあなたを愛しています。俺と結婚して下さい。」



(俺と結婚して下さい……?)



涙が止まらなくなった。
まだ頭は混乱している。
きっと、夢に違いない。
私は、夢をみているんだ。
そう思うのに、涙だけがとめどなく流れて…



「結婚してくれますよね?」

「は、は、はい。」

何とかそう答えた。
夢でもなんでも良い。
こんなに幸せなら、なんだって。



「ありがとう。」

抱き締められて青木さんの体温を感じると、なんだかすごく怖くなった。
今、何が起きてるの?
これは夢じゃないの?



青木さんの胸の中で、私は涙を流し続けた。
< 662 / 761 >

この作品をシェア

pagetop