赤い流れ星3
しばらくして、私はやっとこれが夢でも幻でもない、真実なんだって気が付いた。
それは、青木さんのお説教のおかげだ。



「わかってますか、野々村さん。
あなたが勝手なことをしたおかげで、戸籍がややこしいことになるんですよ。
出生届けを出す時に、俺が子供を認知します。
それからなるべく早く婚姻届を出しましょう。」

「は、はい。」

「結婚式は後回しになりますが、良いですね?」

「は、はい。」

吊り上がっていた青木さんの目が、やがてゆっくりと落ち着いて…



「ありがとう。
俺の子供を無事に産んでくれて。
しかも、二人も。
大変だったでしょう?」

「え、あ…ま、まぁ。」

本当はものすごく大変だった。
こんな痛い想いをするのなら、もう産みたくないと思った程だ。
噂に聞いていた悪阻もなく、妊娠中は楽だったこともあり、私は出産の辛さをまるでわかってなかった。
一人目が生まれただけでそんなだったから、あともう一人産まなきゃいけないのかと思ったら、本当に泣きたい気分だった。
いや、実際に泣いていた。
でも、そんなことは言えない。
私は平気だった振りをした。
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