赤い流れ星3




「わかな…ですか?」

「は、はい。」

「どんな字ですか?」

「平和の和に、香り、奈良の奈です。菜の花の菜でも良いですが…」

本当は『和彦』さんの『和』なんだけど、それは照れくさくて言えなかった。



「わかな…良い名前ですね。
じゃあ、そうしましょう。」

名前はすんなりと決まった。



「男の子はどうしますか?」

「それが…まだ全然。」



私の考えた名前を、青木さんも気に入って下さったみたいだ。
嬉しい。



「女の子は、俺の名前から一文字使われてるので、男の子は美咲の『美』を付けたらどうでしょう?」

「え?わ、私の名前からなんて…」

「そうしましょう。『美』から始まる三文字の名前に。
そうだなぁ…」

青木さんは、目を閉じて…



「みつきはどうでしょう?」

「みつき?良いですね!
どんな漢字ですか?」

「美しいに、都、季節の季です。」

「素敵です!それに決めましょう!」

青木さんのおかげで男の子の名前もすんなりと決まった。
わかなとみつき、子供達の名前が決まったことで、さらに愛しさが募る。



「今日、シュウにサインをもらってきますね。」

「ありがとうございます。」

「なんだかやることがいっぱいですね。
でも、無理はなさらないで下さいね。
焦ることはありません。」

「はい、ありがとうございます。」

幸い、体調はそんなに悪くない。
だけど、退院したら自分だけで子供の世話をしなくてはならない。
そのことを考えると、やはり不安だった。
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