赤い流れ星3
「あ…美幸ちゃん…
もしかして、それ…モルガナイト?」



「え……?」



昨夜のことを回想していると、マイケルさんが、私の胸のペンダントに気付いたみたいで…
さすがは、マイケルさん!
一目でこれがモルガナイトだって見抜いたよ。



「へぇ…可愛いじゃない。
よく似合ってるよ。」

「あ…こ、これは、兄さんが昨日買ってくれて、毎日付けとけって言われてて…それで…」

「モルガナイトは運命の相手に出会わせてくれる…なんて言われてる石なんだよ。
美幸ちゃん、素敵な彼氏が出来るかもしれないよぉ~」

「そ、そうだと良いんですけどねぇ……」

私は曖昧に笑ってその場を誤魔化した。




もうっ!
アッシュさんったら、完全に私をからかってる!
アクセサリーなんて滅多に付けないから、つけてるだけでもなんだか恥ずかしいのに…
どうせ、似合ってないって思ってるんでしょ。
だって、とっても女の子らしくって綺麗なピンクだもん。
私の着てるグレーのトレーナーには似合うはずないよね…
それに、私も子供じゃないんだから、こんなものを付けてすぐに彼氏が出来るなんてこと信じないよ。
会社に行ったら取って…いや、兄さんにみつかったらまたなにか言われそうだから、こんな風に外から見えるように付けるんじゃなくて、服の中に入れとこう。
仕事中になにかにひっかけたら困るとかなんとか言えば大丈夫だろう。

それにしても、兄さんはなんでこれをずっと付けとけなんて言うんだろう?
まさか、本気でパワーストーンに不思議な力があるって思ってる?
……それはないよねぇ…
兄さんは現実主義者で、そういうことは信じない人だもん。
……あ、でも、アッシュさんやマイケルさんはスピリチュアルな世界を信じてるとかなんとか言って、二人共パワーストーンは好きだし、部屋でお香みたいなものをよく焚いてるし…
でも、兄さんはそういうことにも文句一つ言ったことはない……そういえば、なんで兄さんとこの二人は知り合ったんだろう??



「ほら、美幸。
早く食べなきゃ、もうあんまり時間がないぞ。」

「え!?」



柱時計の示す時刻は、いつの間にか家を出る時間に近付いていて…
しかも、三人ともいつそんなに食べたんですか!?

私は焦ってパンを頬張り、コーラでごくんと流しこんだ。
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