赤い流れ星3

side 和彦





「すごい。」

「何がすごいんだ。単に、食材を煮たり焼いたりしただけじゃないか。」

「本当に美味しそうです。」



夕飯は、俺と高坂でスーパーに買いに行った。
いつものように惣菜か弁当を買おうと思っていたら、高坂が食材を買い込み、自分で作ると言い出した。
長い間、自炊をしていたから、大概のものは出来るということだった。
それが嘘では無いことはすぐにわかった。
包丁さばきが、とてもうまい。
長年料理をやってる者の動きだった。



実際に、料理は美味かった。
少し味が濃いかと思っていたら、意外にも薄味だった。
野々村さんの口にも合うはずだ。



「本当においしいです。」

「そうか?お世辞でも嬉しいよ。」

「お世辞なんかじゃありません。
本当に美味しいです。」

「野々村さんは、お世辞なんか言わないよ。」

「またぁ、女房を苗字で呼ぶなって。」

「あ……」

高坂に笑われて、恥ずかしくて下を向いた。
長年の癖はなかなか直らないものだ。



「お前たち、どのくらい付き合ってたんだ?」

「え……」

返事に詰まった。
正確に言えば、しばらく恋人同士の振りをしてはいたが、あれを付き合っていたと言えるのかどうか。



「……どうした?」

「なんというか…難しいんですよ。
またそのうち答えます。」

「難しい…?」

高坂は頭をひねっていた。
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