赤い流れ星3
(そうだわ。こんなことよりも、早く青木さんにお礼のメールを送らなきゃ…)



お茶のおかげで少し落ちついたのか、今、何をすべきかということに私は気付いた。
とりあえず、ネックレスを箱に戻して、私は携帯の画面をみつめた。



『青木さん、先程、ムーンストーンのネックレスを受け取りました。
どうもありがとうございます。』



だけど、そこで私の指がぴたりと停まった。



これだけじゃ、あまりにも素っ気無い。
私も実際ものすごく嬉しい気持ちがあるのだから、素直にその気持ちを打てば良い。
そう考えて少し打っては、削除…
どうしても素直になれなくて、おかしなことを打ってしまったから。
そして、気を取り直してまた打ち直して……また削除する…



『青木さんのご迷惑にならないように、私もムーンストーンのパワーで早くいい人みつけないといけませんね』



恨みがましい、不快な文面だ。
こんなの送れない…




結局、長い時間悩んで、何度も打ち直した果てに私が送った内容は…



『素敵なネックレスをどうもありがとうございました。
大切にします。』

ただ、それだけの短い文章だった。

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