赤い流れ星3
「なんだよ、ため息なんか吐いて。」

「カズさんがしつこいからですよ。」

俺がそう言うとカズさんは笑った。



「帰る前に、食事に行かないか?
俺とおまえと、和彦と美幸ちゃんとで。」

「そりゃ良いですが、なんでそんなに美幸ちゃんにこだわるんですか?」

「確かにそうだな。
俺にもよく分からないけど、なんか気になるんだ。」

「おかしな人だな。
……それはともかく、カズとはどんなことを話したんですか?」

「いろいろしゃべったぞ。」

ようやく話の流れを変えられてほっとした。
カズさんは、カズの結婚を心から喜んでる様子だった。
カズがずっと一人だったらどうしようと心配していたらしい。
だけど、父親とはいえ、すぐに別れているし、普段からそんなに懇意にもしていない。
だから、早く結婚しろとも言えなくて、気になっていたらしい。



「どうして、そんなに気になってたんですか?」

「おまえは一人で寂しいと思ったことはないか?」

「特にありませんよ。」

「そうか。まだ若いせいかもしれないな。
年取って一人だと、とても寂しいんだ。
和彦には俺みたいな想いをしてほしくないからな。」

しみじみとそう話すカズさんは、いつもの明るいカズさんとは違って見えた。

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