赤い流れ星3
「仕方ないですよ。
その時カズさんは19だったんですよね?
遊びたい盛りですもんね。」

「昔に帰れるなら、だめな自分を殴ってやりたいところだよ。
当時の俺はなにもわかってなかったんだ。
俺が遊びに行っても、真樹子はなにも言わなかった。
その意味さえわからず、俺は好き放題してて、ある日、離婚届けを突きつけられた。
その時になって、俺は焦ったよ。
俺は真樹子のことが好きだったし、和彦のことも可愛いと思ってた。
なのに、突然、『あんたとはもう別れる、私達の前にはもう二度と姿を見せるな!』って言われたんだ。
俺は、頭を畳に擦り付けて懇願した。
これからは気持ちを入れ替えて真面目に働く、和彦の面倒もみるからどうか許してくれ!ってな。
だけど、真樹子は和彦を連れて出て行った。
それからは、電話にも出てくれなかったし、もちろん会ってもくれなかったよ。」

自業自得だといえば、それまでだけど、多分、一度だけ許してもらえてたら、カズさんは真面目に働いたんじゃないだろうか?
なんせ、奥さんのことも息子のことも好きだったんだから。
そしたら、今頃はどんな生活をしていたんだろう?
おそらく、ホストはしてなかっただろうし、俺と出会ってたかどうかわからない。



(あ…!)



そうなってたら、ひかりも生まれてなかったんだな。
そんなことを思ったら、なんだか不思議な気がした。
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