赤い流れ星3
「……今でも後悔してるんですか?」

「う~ん…どうだろう。
もちろん、後悔してないといえば嘘になる。
だけど、仕方なかったと思う気持ちも強いかな。」

「……そうなんですか。」



確かに、過ぎ去ったことはもうどうにも出来ない。
後悔してようがしてまいが、元には戻らないのだから。



「なんだかつまらない話を聞かせてしまったな。」

「いえ、俺が聞きたがったんですから。」

「なんでこんなつまらない話を知りたかったんだ?」

「つまらないことなんてないですよ。」

俺がそう言うと、カズさんは照れくさそうに笑った。



「しばらくは、隠れて和彦の様子を見に行ったりしてたんだ。
和彦が少しずつ大きくなる姿を見るのは嬉しいことだったが、でも、会えるわけじゃない。
一言だって話せない。
それなのに、ふたりから心が離れない。
真樹子と和彦は新たな人生を踏み出しているのに、俺はまだ昔にしがみついている。
このままだったら、俺の時計は止まったまま、先には進めないって思ったんだ。
だから、まずはふたりから離れることにした。
友達を頼って、見知らぬ街へ引っ越したんだ。」

「そうだったんですね……」

多分、その時、カズさんはまだ20代になったばかりだっただろう。
いろんなことに挑める年代だ。
でも、カズさんにとってそれは険しい一歩だったのだろうな。


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