赤い流れ星3
「そこでホストへの道が開けたんですね?」

「まぁ、そういうことになるな。
頼って行った奴がホストをしてたんだ。
奴に勧められるままに、俺もホストになった。
だけど、そいつは客を食い物にしていた。
客を客とも思わず、良いように利用して金を稼いでいた。
それが嫌で、俺はホストをやめ、そいつとも離れた。」

「そうだったんですか。」



それは今までに聞いたことの無い話だった。
カズさんがどうしてホストになったのかなんて、俺は今まで知らなかった。



「しばらくはバイトをしながら食いつないでいたが、なぜだか嫌だったはずのホスト時代ばかりが思い出された。
俺と話したことで悩みが吹っ切れたと言ってくれた若い女性、あんたはきっと良いホストになると言ってくれた年配の女性…いろんな客のことを思い出した。
俺のことを必要としてくれる客はたくさんいる。
俺は、客を幸せにするホストになろう、なぜだかそんなことを思ったんだ。
それからは、店を転々とした。
なかなか俺の願望を叶えてくれそうな店はなかったが、一年くらいしてようやく出会ったんだ。
そういう接客が出来る店が。
俺は全力を掛けて頑張った。
そのうちに少しづつ出世して、いつしか店を持つようになったんだ。」

カズさんの独白に、俺は深く頷いた。
< 729 / 761 >

この作品をシェア

pagetop