赤い流れ星3
俺がカズさんに拾われたのは、もうカズさんが店を持ってからのことだ。
最初はお節介で嫌な奴だと思ったけど、俺はカズさんのお陰で救われた。
あのままだったら、今、こうして生きているかどうかすらわからない。
俺は人生に飽き飽きしてたし、命もいらないと思っていた。
そんな俺を拾い、生き返らせてくれたのはカズさんだ。
ホストのことを一から教えてくれたのもカズさんだ。
そのカズさんが、カズの実の父親だったなんて、本当に嘘みたいな話だ。
今では、俺の親友となったカズが、カズさんの息子だなんてな。



「……どうかしたのか?」

「いえ。人生って面白いなと思って…」

「なんだよ、急に…」

俺とカズさんは、顔を見合せて笑った。



「あぁ、今日はつまらない話をしてしまったな。
そんなことより、美幸ちゃんとお前のことが聞きたかったのに。」

「またそれですか。
だから、俺達は恋人の振りを…」

「おまえもしつこいな。」

「しつこいのはカズさんの方でしょう。」



そもそもはカズのせいだ。
カズがカズさんにおかしなことを言うから。
だけど、どうしてそんなことを言ったんだろう?
美幸がカズに、俺の事を本気で好きだなんて言うはずないと思うが。

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