赤い流れ星3
そんなことを考えてる自分自身にハッとした。
俺、意外と浮かれてるな。
仕方なく結婚するだけのことなのに、なぜ…?



(あ……)



もしかしたら、俺に家族が出来るからなのか?
今まで俺には家族なんて者はいなかった。
だから、店の子達を家族のように考えていたが、結婚したら、本当に家族が出来るんだ。
美幸という妻が…
そして、もしも子供が産まれれば、俺の子が。
そして、カズや美咲さんという兄と姉。
今まで親代わりに思っていたカズさんとの距離もさらに近くなる。



そんなことを考えると、胸が高鳴った。
俺、もしかしたら、今まで寂しかったんだろうか?
そんな風に考えたことはなかったけれど、それは本心を隠していただけなのか?
なんだか恥ずかしい。
でも、嬉しくもある。
結婚することによって起きる大きなリスクはあるけれど、それでも結婚することに決めたのは、仕方なくではなく、そういった俺の本心からだったのか?



「……シュウ、どうかしたのか?」

「え?いや、なんでもない。」

「婚姻届けのこと、美幸に訊いてみたらどうだ?」

「そうだな。」

俺はLINEを送信した。



『一緒に出しに行きたいです。』

返信はすぐに来た。
俺に異存はない。
OKのスタンプを送った。
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