赤い流れ星3





「おぉおぉ、良く来てくれたな。」



大河内さんの家に着くまでの間、マイケルが仕事のことで話をして来たので、残念ながら、野々村さんと話す機会は得られなかった。
あの時、野々村さんはどんなことを話そうとしていたんだろう…
あの素っ気無いメールには、やはり何か意味があったのだろうか…



(なぜ、こんなに気になるんだ…
気にするようなことでもないのに…)



ようやく晴れるかと思った心の霧が、また濃さを増したような気分だった。




「おじいさん、これ、お土産!」

「ボクからはこれね!」



通されたリビングのソファに座るなリ、美幸とアッシュがこの間テーマパークで買って来た土産を手渡した。



「どうもありがとうな!
今度はわしも連れていっておくれ。」

「うん、もちろん…あ……」

美幸の視線の先にあるものに気付いたのか、大河内さんはにっこりと微笑んだ。



「何、なに?
あぁ……」

アッシュも、そして同時に俺も気付いた。
それは、テレビの横の棚にあったリッキーのぬいぐるみだ。
シックにまとめられているこの部屋には不似合いで、おかしな具合に目立っている。



「可愛いじゃろ?
野々村さんにもらったリッキーじゃよ。」

「わ、わ…こんな所に…」

「あれがいてくれると、帰って来た時になんだかほっとするんじゃよ。
ありがとうな、野々村さん……ん?」

大河内さんは、野々村さんと話している時になにかに気付いた様子で、次に美幸の方を視線を移した。



「あれあれ?
美幸と野々村さんのネックレスはお揃いなのか?
仲良しなんじゃのう…」

「あぁ……まぁね。」

余計なことを…
俺は大河内さんの言葉に心の中で舌打ちをした。
これで、また美幸がお揃いということに不服を感じ、野々村さんに何か言ったりしないかといやな気分だった。



「それにしても、美幸の石は可愛いらしいが…野々村さん…
あんたのはちょっと地味過ぎやしないか。
もっと、ほら赤とかピンクとか…もしそういうのが気恥ずかしいならブルーとかグリーンも良いかもしれんぞ。
そうじゃ、野々村さん!
あんた、誕生日はいつなんじゃ?
わしがもっと綺麗な宝石をプレゼントしてやろう!」

「……すみません。
大河内さん、それを選んだのは俺なんです。
俺、センスがないからそんなものを…
野々村さん、もう無理にそんなもの付けることありませんよ。
外して下さい。
いや……どうせ安物だし、そんなもの捨てて下さい。」

俺は、反射的に感情的なことを口走っていた。
お陰でその場の雰囲気は最悪なものに変わってしまった。
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