赤い流れ星3
「あれ~!?
もしかして、野々村さん…KEN-Gの財産を狙ってるの!?」

「ま、ま、まさか、そ、そ、そんなこと!!」



アッシュさん…いくらなんでもそんなストレートなことを訊くなんて…!!
もちろん、冗談めかした訊き方ではあったけど、野々村さんは真っ赤になって一生懸命否定して……



「……大丈夫じゃ。
わしには、忍びの者がついとるからのう…」

「忍び…あ、ニンジャのことだね?
もしかして、今も天井裏からボクらのことを見張ってたりして…?」

「そうかもしれんぞぉ~…」



な、な、なんでいきなり忍者が出て来るんですか!?
もしや、おじいさんは、いつも忍者が影となって自分のことを守ってるって言いたかったの?
違う、違うよ!
野々村さんが狙ってるっていうのは、おじいさんと結婚して財産を自分のものにしようとしてるって意味だよ。

何はともあれ、とりあえずは冗談みたいに話がまとまったから良かったようなものの…
私もわざと二人の話に大袈裟に笑って見せた。



「失礼します。」

抜群のタイミングで最初の料理が運ばれ、私は料理に目を奪われたふりをした。
……まるでおもちゃみたいにカラフルな前菜だったから、ふりではなく本心だったかもしれないけど、財産の話をこれ以上続けて欲しくなかったから、気を逸らそうとしたのも本心だった。



「わぁ!すごいすごい!
私がブログでもやってたら、画像を撮りたい所だよ!」

「綺麗なジュレだね!
まるでお菓子みたいだ。
ねぇねぇ、お姉さん、これは何で出来てるの?」

アッシュさんは仲居さんに料理について質問して、年配の仲居さんは格好良いアッシュさんにぽーっとしながらもちゃんと受け答えをしていた。
野々村さんはというと、ハンカチで汗を押さえながらまだどぎまぎしてて…
元はといえば野々村さんのおかしな質問がいけないのに…

そんな様子を見ていたら、私の中で、ますます野々村さんへの不信感みたいなものが強まっていった。
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