嘘つきラビリンス
嘘だと言って…
こんな時、部屋の明かりを消すのはどうしてなんだろう?

そんなことをぼんやりと考えながらキスを受け入れる。


「……ん」


薄暗い部屋で小さなリップ音が妙に生々しい。


「可愛いね……」

「やっ――」


顔を見られたくなくて背けると甘い指が私を犯して、そんなことも考えられなくなる。

ゆっくりと時間をかけて溶かされていく私の身体。


「恋羽……」


あまり好きじゃない私の名前だけど、こんな時、彼に呼んで貰えると体の奥がキュンとなるのが分かった。

淫らな水音が部屋に響くたび、私の体がビクンと反応する。

湿った音が何度も繰り返される。

高まっていく感情、繋がる身体。


「あ、あっ――」

「――っ」


彼の口から零れる切ない吐息に、突き上げる快感に、頭の中が真っ白になった。
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