春色デイジー
どんどん不快な気持ちが高まり、眉間に皺が寄ってくる。真子、さっきはあんなこと言ってごめん。こりゃ眉間にも皺が寄るわ。と心の中で謝った。


制服の襟元をぱたぱたとさせて暑さに耐えていると、周囲の女子生徒がこそこそと騒ぎ出した。


なんだなんだ。

というか、皆が騒ぐせいで余計に暑い、絶対気温上がった、苦しい。温暖化が危ぶまれる今日、私達自らその状況に身を投じるとはとんだドMだ、私は認めない。ストップ温暖化!


悶々と、私の中で主張をしつつも、気になるものは気になる。私は彼女たちの視線の先を辿ってみるが、高くもない寧ろ小さいにカテゴライズされる私の身長では何も捉えることが出来ない。


「(くそっ、)」

何に対してか分からない悪態を付く。


そして、女子生徒のこそこそとしたざわめきが、遠慮なしの黄色い声に変わった時、ようやく私はその正体を見ることが出来た。


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