春色デイジー
わざわざお昼休みに中庭で昼食をとっている私達を探したんだろうから、カフェオレが本題ではないことは容易に想像出来た。


先生は、なんだ。とほんの少しだけつまらなさそうな表情を見せた。


正直先生が私を探していた心当たりは、何と無くある。無ければ良いなと願いながらも、きっとある。

無意識に眉間に皺。


それを見て先生は、ひとつ盛大な溜息を吐くと、


「分かってるみたいだけど、英語、補習だから」

「え、聞こえません」


あらま、やっぱり。先生の忠告を華麗に無視して、やらかしてしまったようだ。


少し前に行われた中間考査の英語で、私は今回から補習があるという信じ難い事実を知りながらも、記録的な点数を叩きだしてしまったのです。もちろん、悪い意味で。


「花ちゃんと橋本だけなんだから」

「だって、」


言い返そうとしたら、伸びてきた腕により頬を抓られた。地味に痛い。


「暴力反対」

「俺は君が補習であることによって、他の先生達から憐みの目を向けられるという精神的ダメージを受けたのです」


ああ言えばこう言うというか。それは私も差ほど変わらないのかもしれないが。

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