春色デイジー
「どうする?今日はプリントしか用意してなかったし帰る?」

「いや、待ってます」


てっきり喜んで帰ると返事すると思っていたから、私は吃驚して卓馬を見上げると軽く小突かれた。


「何でよ、帰りなよ。今日あんたの好きなドラマ再放送してるのに」

「ばっちり録画してきましたー」

その辺に抜かりは無いんだぜ!と自信満々で胸を張った卓馬に呆れる。こいつは何処かずれている。


「はいはい、相沢さんはとりあえず補習の続き」


このまま続けたら収拾がつかなくなることを悟ったらしい先生は、私たちに割って入った。

その判断はきっと正解だ。



そして補習という名の戦場に引き戻された私は渋々問題と向き合いながらも、横目で携帯を操作しながら鼻歌でも歌い出しそうな卓馬を見ると、やっぱり恨めしい気持ちになった。

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