春色デイジー
「よし、今日はこのくらいで終わろうか」
「疲れた、頭爆発する、」
「水かけてあげようか」
「セクハラ、」
疲れた脳では、上手く受け答えが出来ない。訳の分からない言葉を返し、握っていたシャーペンをプリントの上に放り投げて、ぐうっと伸びをした。
結局、あれから1時間ほど経過してしまい予定されていた補習時間を大幅に越してしまった。
酒井先生が採点をしている終わったばかりのプリントを覗き込むと、丸とバツが半々ぐらい。それでも今までよりも断然丸が多いことになんだか嬉しくなる。
「勉強すれば出来るんだから、頑張りなよ?」
そう言って私の髪の毛に指を絡めてくしゃり、と撫でる。
攻撃的ではない声色のそれに、ふと目を見張る。なんだなんだ。喉までに迫り上がる感情に、自ら思考を止める。
先生といい岡さんといい、私の頭を撫でるのが癖なのかな。とどうでも良いことを考える。岡さんが言うには丁度手の置きやすい位置に頭があるんだとか。
「はーい」
採点を終えた先生から返却されたプリントを鞄にしまいながら、先程飲み込んだ感情を隠すように間延びした返事を返した。