春色デイジー
「……なあ」
「んー?」
程よい低音が背中越しに響いた。卓馬が後ろに振り返ったような気配。
「危ないからちゃんと前見てよ」
「はいはい。……んでさ、やっぱ優花も先生のこと格好いいとか思うの?」
ちゃんと前に向き直ったかと思えば、突拍子のない質問が飛んできた。
「酒井先生のこと?」
「うん」
「んーそうだね。普通に格好いいのでは?」
「……、ふーん」
卓馬がペダルをぐっと踏み込んだのが分かった。
いきなり加速した自転車。景色の流れる速度が増した。吃驚して、バランスを崩さないように卓馬の制服にぎゅっとしがみ付く。振り落とされたら堪ったもんじゃない。
「落ちる……っ!」
「んじゃ、しっかり掴まっとけー」
余裕な声色の卓馬の左手が制服を掴んでいたあたしの手を解いたかと思えば、自分の腰に巻きつけさせた。
「んー?」
程よい低音が背中越しに響いた。卓馬が後ろに振り返ったような気配。
「危ないからちゃんと前見てよ」
「はいはい。……んでさ、やっぱ優花も先生のこと格好いいとか思うの?」
ちゃんと前に向き直ったかと思えば、突拍子のない質問が飛んできた。
「酒井先生のこと?」
「うん」
「んーそうだね。普通に格好いいのでは?」
「……、ふーん」
卓馬がペダルをぐっと踏み込んだのが分かった。
いきなり加速した自転車。景色の流れる速度が増した。吃驚して、バランスを崩さないように卓馬の制服にぎゅっとしがみ付く。振り落とされたら堪ったもんじゃない。
「落ちる……っ!」
「んじゃ、しっかり掴まっとけー」
余裕な声色の卓馬の左手が制服を掴んでいたあたしの手を解いたかと思えば、自分の腰に巻きつけさせた。