春色デイジー
規則的に繰り返される寝息、その度に上下する肩。窓から入ってくる風が、先生の髪の毛と戯れる。
吹き込む風は梅雨特有のそれではなくなりつつある。からり、と乾いた地面か植物か……太陽の匂いを連想させるそれが鼻腔をくすぐる。
今年は梅雨が短いと天気予報で言っていたな、と思いだす。梅雨明けももう間近。
右手に持ったままだったコーヒーメーカーを以前見つけておいたスペース、マグカップが収納されている棚の下の段に収納する。ぴったりと納まったそれは、何処か懐古的なこの教室にすぐに溶け込んだ。
流石に水道は通っていないようだが、棚の隣に設置された冷蔵庫を発見した。ますますこの教室の正体が分からなくなる。
(失礼します、)
心の中で一応呟いてから、冷蔵庫を開けると中には水のペットボトルが何本かと果物が入っていた。
なるほど、先日御馳走になったコーヒー、確かに水を汲みに行っているような様子は無かった。ここに常備してあるのか。と妙に納得。
「……ん、」
「す、すみませ」
不意に後ろから聞こえた声に、反射的な謝罪を。大袈裟なまでに驚いた胸をなだめて振り返る。
そこには先程と変わらない光景が広がっていて、寝言か、と結論づけた。
吹き込む風は梅雨特有のそれではなくなりつつある。からり、と乾いた地面か植物か……太陽の匂いを連想させるそれが鼻腔をくすぐる。
今年は梅雨が短いと天気予報で言っていたな、と思いだす。梅雨明けももう間近。
右手に持ったままだったコーヒーメーカーを以前見つけておいたスペース、マグカップが収納されている棚の下の段に収納する。ぴったりと納まったそれは、何処か懐古的なこの教室にすぐに溶け込んだ。
流石に水道は通っていないようだが、棚の隣に設置された冷蔵庫を発見した。ますますこの教室の正体が分からなくなる。
(失礼します、)
心の中で一応呟いてから、冷蔵庫を開けると中には水のペットボトルが何本かと果物が入っていた。
なるほど、先日御馳走になったコーヒー、確かに水を汲みに行っているような様子は無かった。ここに常備してあるのか。と妙に納得。
「……ん、」
「す、すみませ」
不意に後ろから聞こえた声に、反射的な謝罪を。大袈裟なまでに驚いた胸をなだめて振り返る。
そこには先程と変わらない光景が広がっていて、寝言か、と結論づけた。