Only
ベランダに出ると、お義父さんはあたし達にイスに腰掛けるよう促した。
お義父さんがはあ、と深くため息をついた。
「君のお母さんとは…昔、付き合っていたんだ。」
…そうなんだ。
でもそれが何の関係があるんだろう…
よく分からず、頭を傾げていると。
「紅茶を淹れたわよ」
お義母さんが紅茶とお菓子を運んできた。
…その時、お義父さんの顔が歪んだ気がした。
「はい。ミルクとレモンは好みでどうぞ。…名前は、何て言うの?」
お義母さんがあたしに紅茶を出しながら訊いてきた。
「飯尾 輝と言います。」
その瞬間。
パリーーン。
マグカップが床に落ちた。