Only
外はとても静かで、聞こえるのは鳥の鳴き声と時々通る自動車のエンジン音だけ。
空は哀しいほど高くて、青い。
気まずくてお互いに顔も見ることができない。
繋がれたままの手が、震えてる。
「何かあたし…怒らせちゃったみたいだね……ごめんね、ひか…」
そう言いかけると、光はあたしの肩を自分の方へ引き寄せた。
広い肩幅にすっぽりと収まるあたし。
あまりに強い力で、息苦しくなる。
「ごめん……誕生日なのに、こんな思いさせて…」
「ううん、大丈夫……」
名前を言った瞬間、豹変した態度。
冷たくて、トゲのような視線。
発された言葉。
間違いなく、あの人はあたしを知ってる。
ううん、あたしのお母さんを知ってる。
そして、
何か恨んでる…………?