Only
「…あ、本当ごめん。誕生日に暗い話ばっかで…」
ハッとした光があたしに謝る。
あたしは首を横に振って否定した。
「大丈夫だって。光には、もう誕生日祝ってもらったしさ。今は…光が優先」
…きっと、光だって辛いはず。
男だろうが女だろうが、両親の離婚は
…辛い。
だから、あたしの誕生日でも何でも、
今は光を支えることに専念したい。
あたしにできることは、それしかないから。
その後結局、光に家まで送ってもらい、今日はお母さんと過ごすということにした。
「送ってくれなくて良かったのに」
「送るなんて当たり前だろ」
「…じゃあ…話、頑張ってね」
「おう。任せとけ」
そう笑った光の笑顔は。
いつもの余裕の笑顔じゃなかった。