Only

お母さんが作ってくれたケーキを平らげて、自分の部屋に戻る。


…少し吐き気がする。

食欲がなかったけど、せっかくお母さんが作ってくれたから残すと悪いなと思って。

無理矢理押し込んだケーキがお腹の中で悲鳴をあげてる。

ベッドに横たわってグッタリしていると机の上のスマホが鳴った。

画面には光の名前。


「もしもし…?」

「…っ急にごめん…今家の前に来てる。出てこれるか?」

走ったのか、息をきらしながら言う光。

カーテンを開けて外を覗くと、光と目が合った。

「ちょっと待ってて。今下りるから」

一階に下りると、お母さんがスマホをいじりながら、なにやら編み物をしていた。

バレないようにそーっと外に出る。


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