Only
「ただ、お前と輝さんの関係もあるから…」
「無理だろ!!」
申し訳なさそうに俺を見る父さんを上から睨みつける。
「再婚しようって、もう決めたんだろ!?後は、離婚の手続きして、子供達に紹介すればいい、ってところまで進んでるんだろ!?今さら俺らに何ができるんだよ!!別れたくないって、再婚するななんて、言えるわけねーだろ!!」
…初めて、父親に怒鳴りつけた。
驚きと、哀しみと、申し訳なさと。
色んな感情が混じった父さんの顔。
…分かってるよ。
父さんの心境。
自分だけ幸せになるなど許されないと、今必死になって考えてる。
輝と俺が付き合ってるなんて思いもせず、愛さんと再会してしまった。
輝に、何て言えばいいんだよ…
アイツの誕生日。
ただ、笑ってる顔が見たかっただけ。
気がつくと俺は、家の門を飛び出し、
半分無意識に輝の家へと向かっていた。