Only
「…輝?どした?」
2人に目をとられて、ボーッとしてたあたしに大地が声をかける。
目の前には、心配そうな顔をした大地の顔があった。
「ん?あ、いや何でもない。教室戻ろ?」
「…なんでもない、か」
「…うん。大丈夫」
大地。
…今は。
強がらせて?
後で1人になったら、
きっと涙が止まらなくなるから。
大地の後をついてくように教室に入る。
「輝ー!どこ行ってたの??探したよ?」
優奈があたしを見つけると、そう言って駆け寄ってきた。
「ごめんね、レース生地無くなったから、家庭科室に行ってたー」
「言ってくれればついてったのに…」
「大丈夫だって!どんどん作ろ♪」
「ありがとね、レース生地!あと6着だから頑張ろ!」
2人で再び作業に取り掛かる。
…なるべく、光の事は思い出さないようにしながら。