Only

「…輝?どした?」

2人に目をとられて、ボーッとしてたあたしに大地が声をかける。

目の前には、心配そうな顔をした大地の顔があった。

「ん?あ、いや何でもない。教室戻ろ?」

「…なんでもない、か」

「…うん。大丈夫」


大地。

…今は。

強がらせて?

後で1人になったら、

きっと涙が止まらなくなるから。


大地の後をついてくように教室に入る。

「輝ー!どこ行ってたの??探したよ?」

優奈があたしを見つけると、そう言って駆け寄ってきた。

「ごめんね、レース生地無くなったから、家庭科室に行ってたー」

「言ってくれればついてったのに…」

「大丈夫だって!どんどん作ろ♪」

「ありがとね、レース生地!あと6着だから頑張ろ!」


2人で再び作業に取り掛かる。

…なるべく、光の事は思い出さないようにしながら。


< 185 / 308 >

この作品をシェア

pagetop