Only

「輝……大丈夫…?」

優奈があたしの背中を擦りながら言う。


……もうダメだ、限界。

我慢してた涙が、一気に溢れ出る。


“ 未練無さげ ”……?

あの子はきっと、分かってる。

あたしが光に未練があることなんて、お見通し。

…何も言い返せなくて。

今のあたしに、光が好きだなんて、言えない。

それがものすごく悔しくて、苦しい…

あたしが泣き崩れそうになっていると

「輝。場所変えよう」

と大地があたしの手首を掴んで、廊下に出ていった。


連れてかれたのは、屋上。

……夕焼けが、すごく綺麗。

哀しいほど、街がオレンジ一色に染まっていた。


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