さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
子どもは、横道に入っていった。

この先には、神社がある。

子どもの頃、その神社でよく遊んだから、建物や庭のようすを知っている。

商店街の人の間を走るのと違って、障害物のない道だから、体の大きいあたしが有利だ。

「よし、ダッシュ!」

思い切りスピードを上げた。



境内に入った所で、子どもを捕まえた。

子どもは、地面の砂をつかみ顔に投げた。

手で防いだけれども、砂が口の中に入って、あたしは思わずはき出した。

その間に、子どもはまた走りだしたが、少し先の石畳につまずいて勢いよく転んだ。

あたしは子どもの上に覆い被さって、押さえ込んだ。

「待って、逃げないで」

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