さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
子どもは、うわっ、うわっ、と声を上げて泣き出した。

「大丈夫、大丈夫だから」

子どもは、泣き続ける。


泣きじゃくる子どもを、しっかり抱きしめた。


抱きしめて、「大丈夫よ」と語りかけた。



セミ鳴いていた。

「聞いてごらん。ほら、セミが鳴いてる」



子どもはすすり泣いている。

腕に力をいれて、強く抱きしめた。





「セミは、なぜ鳴くんだろうね」


目をつむってセミの声を聞きながら、子どもを抱きしめていた。


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