さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「お姉さんと、帰ろう。おかあさん、心配しているよ、きっと」

さっき転んだときに、すりむいたのだろう、子どものひざには血がにじんでいた。

エプロンのすそで、血を拭いてやった。

子どもは、くすん、くすんと、鼻水をすすりあげながら、あたしをちらりと見ていた。

あたしは、子どもを見てにこやかに笑ったつもりだったが、さっき口に入った砂がまだ残っていて、ちょっとしかめっ面の笑いになった。

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