さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「あのクッキーは、ウチのみんなで作ったんだよ。
あたしたちは、あれを売って、そのお金でご飯を食べたり服を買ったりできるんだよ」

「みんなで、がんばって働いているんだよ。
そんな、一生懸命な気持ちが、あのクッキーには入っているんだよ」

「もしも、坊やが、お腹がすいて、死にそうで、どうしようもないのなら、あたしは、怒らないかもしれない。

でも、ちがうでしょ。坊やは、遊びの気持ちであんなことをしたね。
遊びで、あたしたちの大事なクッキーを持っていったね」

「いけないことだよね。坊やのしたことは」

肩に掛けた子どもの手に、力がぎゅっと入るのがわかった。


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