さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
夜。

夕食をとりながら、あたしは父に話しかけた。

「パパ、クリスマスに向けて、もっとおしゃれなケーキを作ろうよ」

「おしゃれって、どんなんだ?」

おしゃれに無縁の父は聞いた。

「たとえば……流行のものとか……」

「流行って、どんなんだ?」

流行とも、父は無縁だ。


「うーん。どんなんだろ?」

改めて聞かれると、答えに窮する。


「漠然と、作ろう、と言ってもダメだろ。どんな物か、アイディアを出さなきゃ」

「はあ……」

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