さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「どうせ、また売れないと思いますけど」

「いや、やればできるさ。がんばれよ」

司会者の大木さんが、あまり気持ちの入ってない声で、型どおりに励ました。

「今度の曲がうまく行かなかったら、本当にもうだめダメかな……と思うこともあります」

どう励ましたらいいんだろう? 励ましようがない。
 
「あの、あたし、花束贈呈の係になっているんです。
第2回目のコンサートが終わるとき、花束を持って行きますので、よろしくお願いします」

「ありがとう。こちらこそよろしく。
あー、そうだ。一番最後に、みんなで『合格ビーム』という決めポーズをやりたいから、一緒にやってもらえませんか?」

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