さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
冬休みが近づき、学校も午前中で終わった。

「ただいま」

居間では、父がメザシをおかずにして、昼食をとっていた。

北海道旅行に行きたい、と言ったときに父が食べていたのは、鯖の味噌煮だったことを思い出した。



「パパ」

パンフレットを置いた。

「何だ」

「それ、見て。あとでいいから」

調理師専門学校のパンフレット。

「高校を卒業したら、そこの製菓コースに入ろうかと思って」

父は箸を止めて、まじまじとあたしとパンフレットを交互に見た。

「お前、高校からそのまま大学に行くんじゃなかったのか」

「うん……そのつもりだったけど。将来、果林堂でお菓子を作るのも、いいなと思って」


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