さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「ひどい」

「でも、オレは、お前を見直した。自分を失ってはなかった。
店のために、一生懸命にやってくれた。本当に嬉しかった」

「……」

「気にしなくていい。自分の好きな進路に進め。大学でも、どこでもいい」

涙があふれそうだった。

くやしい。嘘をつかれたことが、くやしくてたまらない。

「うおーーーっ」と叫びながら、こたつをひっくり返してしまいたい。

でも。

確かに、自分は浮ついた気持ちだったのかもしれない。

目的もなく、あこがれだけで、大学に進もうとしていたのかもしれない。

その思いが怒りを鎮めた。

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