さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「もう、いいよ」

とにかく、父の前から去りたかった。

二階の自分の部屋に入り、ベッドに横になった。

(20万円、返してもらったら、冬休みに、北海道に行こうか。
そして、札幌ラーメンをたくさんたくさん食べて、お腹がいたくなって、救急車で家に運ばれて帰ってくる……)

(どっかの遠い街にある大学に行って、家なんかには帰ってこない。
そこの街でケーキ屋を開いて、その店が大当たりで……カリスマ経営者になって、テレビに出て、パパはびっくりする……)

めちゃくちゃだ。

笑いたくなる。

あはははは……と声を出して笑ってみた。

あはははは……


笑うしかない。

笑うことしかできない。


でも、笑える自分がいる。

一つの発見だった。

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