さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「実は、あの、『シティ・タイムズ』の商店街特集が好評だったので、第二弾を計画しているのよ。
ついては、お父様に、誰か、おもしろい商店主を紹介してほしいのよ」

おもしろい人なら、ゆめ通り商店街には、一杯いる。


「また、今度来ます。お父様によろしく」

帰ろうとするみどりさんを呼び止めた。

「待って下さい。師匠!」

「はあ?」

師匠と呼ばれて、みどりさんはきょとんとしている。

あたしはカウンターから出て、みどりさんの前に立って頭を下げた。

「みどりさん、『師匠』と呼ばせてください! 
この前、ウチにいらして、プールの話をされたでしょう。
あの話に、わたし、感じ入りました。
お願いです。弟子にしてください」

「弟子……何の弟子?」

「……恋愛の。それと、人生の弟子です」

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