さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
第14章 クリスマス
クリスマス・イブ。

朝から、果林堂は殺気立っていた。

普段の20倍以上のケーキが売れるからだ。

スポンジ部分は、前もって冷凍しておくものもあるが、生クリームの飾り付けは、父が、
当日することにしている。

母もクリームは絞れるが、父の方が文句なく上手い。

はたからみると、ひょいひょいと、気楽にやっているように見える。

けれども、あれは神経を研ぎ澄ましてやっているのだ。


子どもの頃、父がクリームを絞って、バラの花を作るのを見るのが好きだった。

まるで魔法のようだった。
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