さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
昼頃、実可子が店のレジを担当していると、夏にクッキーを万引きした子どもが、母親と来た。

あれ以来、店に顔を出さなくなったので、あたしたちは心配していたのだ。


「お久しぶりです」

母親は、小さな声であいさつをした。

「あ、お元気でしたか」

「はい……なんだか、ここに来にくくて」

母親は下を向く。

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