さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「実可子、明日はミサに行く?」
「もちろん、行くよ」
学校の礼拝堂で、毎年12月25日の朝にクリスマス礼拝が行われている。
参加は自由だが、清らかなミサの雰囲気に一度でも触れたら、毎年参加せずにはいられない。
「じゃ、また、明日」
二人が帰ったあとで、潤一さんがくれた包みをしげしげと眺めた。
赤い包装紙に金色のリボン。
潤一さんのコートのポケットに収まる大きさの箱だ。
エプロンの大きなポケットにそっと入れてみた。
ポケットから伝わる、うれしい小さな重み。
ドキドキが始まった。