さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「あ、そういえば!」

麻理が突然声をあげた。

「実可子、ウチの兄さんだけど……」

麻理が兄の潤一(じゅんいち)さんのことを話し始めると、どきん、と心臓が音を立てた。

潤一さんは、麻理より3つ年上だった。

時々、麻理の家で、一緒に遊んだり、勉強を教えてもらったりした。

優しくて、穏やか。

潤一さんに関しては、あたしは小学生のころから、「この人は、なんだか、いいな」と感じたものだ。

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