さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
潤一さんは、友だちの間では「イケメンで、カッコいい」と言われて、あこがれの的だった。

誰だって潤一さんを見れば、そう思うだろう。

でも、違うんだ。

潤一さんを「見れば」じゃなくて、「知れば」わかるはずだ。

「イケメンでカッコいい」なんて、ありきたりの言葉では、潤一さんを表現できないことを。

潤一さんは、「何か」を持っている。

人間の「美しさ」……言葉で表現すれば、そのようなもの?

でも、まだ何か違う。

「何か」としか言えない。

(でも、「何か」で十分よ。人を好きになる理由なんて)


けれども、その想いを、誰かに打ち明けたことはない。
麻理にさえも。いや、麻理だからこそ。

万一、麻理があたしの気持ちを知ったとしら、何とか兄とあたしを結びつけようとする……。そんなことをされたら……。

恥ずかしくて、潤一さんに会うことさえ、つらくなってしまうに違いないもの。


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