さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「何も気にしなくていい。裕太は、もちろん高校にやる。お前も、望めば、大学にだってやる。親は子どもの幸せを願うだけだ」

「ただ、な。……おれは、もうかるケーキより、うまいケーキを作る」

「もうかるケーキ作りなら……」
父はあたしを見据えた。

「おまえがやれ」

「は?」

「やれるんなら、おまえが、やれ」


父は、帳簿をばたんと音を立てて閉じると、テレビの前に移動して、ナイター中継を見始めた。

テレビの前から動かない。

母は、ほっと小さく息をついて、台所に戻った。

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